In the Rain

オランダ交換留学記。兼、旅行情報まとめ。

卒業に際して思う留学のメリットとデメリット

刻一刻と人生の夏休みが終わりに近づいています。私はオランダに10ヶ月交換留学、イギリスに4ヶ月インターンのために渡航をしていました。帰国後の振り返りもしましたが、卒業を迎えて思う、留学の良かったところと、悪かったところを振り返りました。最後に今の心境も。

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たまに考えを棚卸しするのって大事だと思います。

 

留学のメリット

色々感じるところはありますが、まとめると以下のようなこと。

 

自分を振り返る時間ができた

一番はこれ。抽象的かもしれませんが、自分が何をしたいのかだったり、自分は何が好きなのかだったり、そういうことを考える時間を持てたことが一番大きいです。

なかなか日本にいるとそんなこと考えず、というより忙しくしているので考えようともせず過ごしていたのですが、やらなくてはいけないことが極端に減った留学生活では強制的にその時間ができました(勉強が楽だったからかもしれない)。

 

この時間に考えたことは就活でも、これから先の人生でも、軸になるようなことだったかなあと、今でも感じています。

 

11月くらいに来る、留学鬱*1(というほどのものに自分はなりませんでしたが)も、自分を見つめ直すきっかけです。

 

以前、日本人は宗教という依るところがないから、アイデンティティを確立するのが難しい、というような記事をどこかで読んだんですが、実際にそういうところもあるかもしれません。絶対的な頼るものがないなか、いかに自分に拠ってたてるか、それが大事ではないかと感じます。

 

尊敬できるような友達・先輩たちと知り合えた

「意識高い系」とかいう言葉を使っていることがださいと私は思うので(そういう風に考えるのもださそうなので堂々巡り)、そうは呼びませんが、自分の考えを持っていて、かつそれを発信する能力のある人が、留学を通じて知り合った人には多いように思います。

それに交友が広い人が多いですね。Facebookで共通の知り合いが結構いたりして、毎度驚かされます。

 

日本にだっているじゃん、と言われればその通りです。ただ、これだけ「留学」という一つの共通項だけである程度簡単に仲良くなることができ、かつ尊敬できるような人にめぐりあう確率が高いのは幸運なことじゃないでしょうか。

 

「コミュニティの持つ力」みたいなものも感じます。慶応の三田会のような。情報感度の高い人も多いので、誰かに聞けばわかったり、誰かを紹介してもらえたり。そのコミュニティに属していることで得られるメリットが大きいと思います。情報を得なきゃという強迫観念に自分が囚われている気もしなくはありませんが…。

 

コミュニティに関して言えば、利用させていただいたトビタテ!留学JAPANには本当にお世話になっています。大学ってどうしてもカラーがあるので、違うコミュニティの人に会うと毎度発見があるんですよね。

 

もちろん中には留学で何も学ばなかったのかな、という人もいますが、そういう人はどんなコミュニティにもいるもんでしょう。それでも時間とお金をかける分、そういう人は少ないです。

 

また、少ないながらも全く異なるバックグラウンドを持った友人を得られたことも大きいです。これが自分のことを考えるきっかけにもなりました。なぜ神はいると思うのかなんて、日本で普通に過ごしていたら絶対考えることなかった。

 

受容力・主張力が上がった

違っていて当たり前、を体得したことで、まあそういうもんか、と以前より理解を示せるようになった気がします。これは実際にむかつくことも色々経験した結果なので、行かないと無理だったかな。

これと裏表で、でも私はこうなんだ、と主張する力も強くなりました。言わないことが罪とまでは言わなくとも、言わないと分からないを前提にするようになった気がします。逆にそれを相手に押し付けないようにしないと。

 

このあたりのことが、よく見かける就活ワードの、「異文化への理解」みたいなところだと思います。

個人的には「理解」という言葉は、相手の考えを深いところまで正しく解釈できた、という印象があるので好きではなく、「分かった」くらいのほうが現実に即している気はします。

 

一方で主張が理不尽に捻じ曲げられることに対する拒否感は激増しました。これはデメリットにて。

 

語学力がついた

上記のようなことがもてはやされて、語学が軽んじられているような気が最近しますが、個人的には超重要だと思います。言葉よりも価値観の理解が大事だ!と言いますが、結局伝わらなかったら意味がありません。中身が大事なのは言うまでもありませんが、中身の価値を伝えるためにはツールを十全に使える必要もあるということです。

 

正直現状ではIELTS7.0程度(留学中に取得)、Speakingが出来なくてReadingが出来る典型的な日本人で、大して英語に自信も持てません(ロンドンで働いて余計思った、働けないなと)。ですが、それでも英語への拒否感は減りましたし、旅行するときも英語さえあれば特に苦労はないように思います。電話が一応できるレベルになったのも大きい。

滅茶苦茶英語が嫌いだった中高生の頃とは雲泥の差だと思ってます。これからもちょっとずつ継続していかないとな。

 

行動力がついた

自分が動かないと始まらないことがたくさんありました。メールではなく電話をかけないと対応してくれないこともたくさん。とにかくやってみよう、そんな意識がついた気がします。

ホームレスにもなりかけて学びました(笑)。

 

旅行にたくさん行けた

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Jetloversより

ヨーロッパ特有の良さ。25カ国ぐらいバックパック、というかリュック?だけ持ってLCCやバスで飛び回ってました。今思うとよく荷物足りてたな。

単位もちゃんと回収できてよかった。

ヨーロッパ留学の人だったり、旅行が好きな人はJetloversを登録してると楽しいかもしれません。

 

就活で有利だった

これは実際どうだったかわかりませんが(笑)。

ESは人よりきちんと書けていた自信はありますが、やはりESの力は、わかりやすさ(論理性)に加えてインパクト(エピソードの強さ=すごさ)もあると思うので、交換留学+海外インターンは相当に強かったんだと思います。偉そうですが、最近就活生のESをみてて思いました。エピソードもいくらでもあったので、何でも話せましたし。

自分のことをきちんと考えていた(とはいっても浅かったですが)ということも、就活風に言えば「自己分析していた」ということで、役立ちました。

 

一方で留学以外が少々弱く見えることもあったのかなと思います。

面接で伝わる価値観も、合う会社合わない会社、きっとはっきり分かれていたんだと思います。

 

 

留学のデメリット

留学して良かった、と自分では思っていますが、「留学したことを公開している人に会ったことがない」のポスターが「生存バイアス」と野次られるように、悪い点も留学にはたくさんあったんだと思います。留学の経験が嫌なら、留学してたなんて言いませんもんね。ポスターは「トビタテ ポスター」とかで検索すると出てきます。

ちなみに私の一代上の交換留学生は一人が失踪した(勝手に途中帰国したらしい)ことから分かるように、人と場所によりますが、留学はそんなに甘い物じゃないです。簡単に留学に行けるようになった分、留学で何をしたか、がより問われているとも思います。

 

最高だったはずの時間を失った

時間はプライスレス。日本で過ごせたはずの、一番楽しかったはずの、3年生後半を失っています。 サークルを一足先に引退し、同期の引退を一人スマホで見る寂しさと言ったら、言葉では表せません。私はサークルもコミットしていた分、これが相当辛かったです。みんな本当に楽しそうで。そのころに聞いていた曲を聞くと、今でもあの時が鮮明に思い出せます。

 

日本にいる人との繋がりが希薄になった

出会いがあるぶん、薄くなるつながりもあります。「一緒に引退した仲間」ではないサークル員とちょっと距離感を感じたり、「そこそこ仲が良かった」友達と疎遠になったり。大学の一年間という期間は長く、貴重。重たいです。

 

お金を相当使った

これは取り戻せると思ってますが。一時的にはデメリットです。

トビタテや交換留学のおかげで相当費用は抑えられましたが、それがない私費留学生はかなりの負担でしょう。そもそもここが留学のネックになる方が多いと思います。 

 

留年する場合には社会人になるのも遅れるので、機会費用も発生します。

お金という面もそうですが、両親にはたくさん心労をかけただろうなとも思います。

 

納得出来ないことは納得できなくなった

頭悪そうな表現ですが(笑)。これはメリットとしての主張力の裏返しです。もちろん受容力も上がってはいますが、理不尽さに対する拒否感が強くなった気がします。自己主張が強くて嫌われる原因になるのかもしれません。

受容力と矛盾しているように思うかもしれませんが、「相手がどうでもそれを受け入れることができる」という受け入れる力に対して、「自分に相手の何かが理不尽に強制される」ことへの拒否反応が強くなったということです。自分について考える時間ができた分、自分の考えに自信もつき、それ以外を「強制される」ことが嫌になったのだと思います。

 

 

帰国して1年後はこんなことを思ってました

改めて見るとやっぱり恥ずかしいですけど、今考えても間違ったことは言ってないかな。考えを深められるようにしていきたい。

唯一、考えるということに関しては少しだけ真面目に取り組むようにはなったかもしれません。特に目的もなく留学に来てしまったがために、日本の大学で楽しそうにしている友達を見ると、なぜ留学をしているんだろうと思うこともたくさんありました。最終的に「楽しいから」留学しているという、馬鹿みたいな結論にはなったけれど、その考えていた時間は無駄ではなかったのかなと思います。

留学から帰国し1年たって思うこと - In the Rain

 

 

最後に、人生は二択じゃない

そもそもメリットとデメリットで綺麗に分けきれるものではないし、留学するか留学しないかの二択でもない。分かりやすいから分けたけどね。

 

留学をして思うのは、 別に留学をするかしないか、という考えをもつ必要はないということ。サークルでも、バイトでも、長期インターンでも、起業でも、体育会・運動会でも、世界一周でも、何でもいいんだと思います。留学も数ある選択肢のうちの一つ。その中から自分が惹かれるものを選べばいい。

ただその中で、「選ぶ」ということ、なぜ自分はその選択なのか、自分がしたいのは何なのかを考え、決めたことを本気で頑張ること、それが大事なんだと思います。

 

私の好きな言葉に、「選んだ道を正解にする」というものがあります。これでよかったのか、迷うことはたくさんあります。留学でも就活でもありました。これからもあると思ってます。その中で、真剣に向き合って選ぶこと、選んだらそれでよかったと思えるだけやりきること、それが人生を豊かにする鍵なんじゃないかと思います。

結果はもちろんのこと大事で、それは人生を左右するものでしょう。だからこそ「正解」になるように頑張る必要もある。でも、人生を豊かにするのはその過程かもしれないと思います。

 

人間、本気で頑張れば認知的不協和の解消がひとりでに起きて、それで良かったと思えるでしょう。真摯に向き合って、たまには休憩して。とりあえずがんばりましょう。

また一年後にでもこの記事を見返して、その時に思うことを書けたらいいなと思います。

 

*1:特に緯度の高いヨーロッパに留学している人が、留学開始から3ヶ月程度経過した慣れと日の短さという物理現象によって起こす、なんで留学してるんだっけ、という漠然とした精神の不安定さ。勝手に命名。